建築・リフォーム
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CLTとは?木造建築の可能性を広げる新素材

310用語解説

CLTは、ひき板を繊維方向が直交するように積層接着した厚型パネルで、強度と耐火性に優れた新しい木質構造材です。

CLTとは

CLT(Cross Laminated Timber:直交集成板)とは、ひき板(ラミナ)を繊維方向が直交するように何層にも積層し、強力に接着して作られる厚型のパネル状木質材料です。従来の木材に比べて高い強度と安定性を持ち、コンクリートや鉄骨に代わる構造材として注目されています。

この直交積層構造により、木材の弱点である異方性(方向によって強度が異なる性質)を克服し、高い耐震性や耐火性を実現しています。主に壁や床、屋根などの構造部材として使用され、中高層建築物への木造化を可能にする革新的な素材です。

なぜ今、話題なの?

CLTが注目される背景には、環境問題への意識の高まりと、建築技術の進化があります。

まず、CLTは木材を主原料とするため、製造時のCO2排出量がコンクリートや鉄骨に比べて大幅に少なく、炭素を貯蔵する「カーボンストック」効果も期待できます。これにより、地球温暖化対策に貢献する持続可能な建築材料として評価されています。

次に、その高い強度と加工性により、これまで木造では難しかった中高層建築物の構造材として利用できる点が挙げられます。プレファブ化(工場での事前加工)が可能で、現場での工期短縮やコスト削減にも繋がります。また、木材ならではの温かみや調湿効果、リラックス効果といった居住環境の質の向上も期待されており、人々の健康や快適性への関心が高まる中で、その価値が再認識されています。

どこで使われている?

CLTは、その優れた特性から世界中で多様な建築物に採用されています。日本では2016年に建築基準法で構造材として認められて以降、公共施設、商業施設、集合住宅戸建て住宅など、幅広い用途で活用事例が増加しています。

具体的な例としては、学校や保育園などの教育施設では、木の温かみのある空間が子どもたちの学習環境に良い影響を与えています。また、ホテルやオフィスビルといった中高層建築物では、CLTの構造的な強度が活かされ、都市部の景観に木質感を加える新しいデザインが生まれています。さらに、耐震性や断熱性の高さから、災害復興住宅や省エネ住宅への活用も進められています。

海外では、オーストリアやカナダを中心にCLTの普及が進んでおり、10階を超える高層木造ビルも建設されるなど、その可能性はさらに広がりを見せています。

覚えておくポイント

CLTについて理解を深める上で、以下のポイントを押さえておきましょう。

* 環境負荷の低減: 木材は再生可能な資源であり、CLTは製造時のCO2排出量が少なく、炭素を固定する効果があるため、環境に優しい建材です。 * 高い強度と安定性: 直交積層構造により、木材の弱点を克服し、コンクリートや鉄骨に匹敵する強度と安定性を持ちます。これにより、耐震性や耐火性にも優れています。 * 設計の自由度と工期短縮: 大判パネルとして工場で加工されるため、現場での施工が効率的で、工期短縮やコスト削減に貢献します。また、木材ならではの表現力で意匠性の高い建築も可能です。 * 居住環境の向上: 木材が持つ調湿作用や香り、視覚的な温かみは、居住者の快適性や健康に良い影響を与えるとされています。 * 普及と課題: 日本ではまだ歴史が浅いですが、国を挙げて普及が推進されています。しかし、コストや供給体制、設計・施工技術者の育成など、さらなる普及には課題も残されています。今後の技術革新と需要拡大が期待されます。